NIFS

第24サイクルのプラズマ実験を開始しました

2022.9.29
大学共同利用機関法人 自然科学研究機構
核融合科学研究所
 

本日、核融合科学研究所は、大型ヘリカル装置(LHD)の第24サイクルのプラズマ実験を開始しました。「サイクル」とは、数か月間連続してプラズマ実験を行う期間のことで、今回は、平成10年の実験開始から数えて、24回目の実験期間になります。LHDでは、第19サイクルから、重水素を用いて高温のプラズマを生成する「重水素実験」を行っています。

お陰をもちまして、LHDでは、重水素実験の実施により、核融合発電に必要な1億度を超える高温プラズマの生成技術を確立し、LHDの研究は新たな段階に入りました。昨年度の第23サイクルの重水素実験においては、米国との国際共同研究によって、ホウ素の粉末をプラズマにふりかけることにより、リアルタイムで真空容器の壁からの不純物を低減すると同時に、プラズマ中の乱流を抑制できることを明らかにしました。また、ドイツとの共同研究では、プラズマを閉じ込める磁場の構造が乱流の抑制に重要な影響を及ぼすことを明らかにするなど、今後の核融合研究の基盤となる成果を挙げることができました。

これからは、このような高温プラズマの安定維持に必要な乱流や不安定性の制御、プラズマ中に発生する波の発生メカニズムを明らかにする等の核融合発電を実現する上で必要な学術研究を中心に進めます。さらに、核融合研究で得られた知見を天体現象などの理解のために普遍化する新たな研究の展開も図る予定です。

第24サイクルの実験期間は、本日9月29日から12月27日までを予定しています。重水素実験は、本日から12月2日まで実施します。その後、終盤の約1 か月間は、軽水素とヘリウムガスを用いた実験を実施し、12月27日に終了する予定です。

本実験サイクルにおいても、実験の安全性を最優先事項として、機器の保守点検、安全講習会、巡視等の実施、及び万が一の事故に備えた緊急連絡・対応の訓練を実施するとともに、24時間体制で監視を行っていきます。また、放射線関連データや実験の進行状況を随時ホームページ上で公開する等、引き続き情報公開に努めてまいります。今後ともご支援、ご協力の程よろしくお願い申し上げます。