FUSION2030 Fusion Plasma Working Group

学術課題集

核融合プラズマのサイエンスとその拡がり

核融合炉の研究は新たなエネルギー源の実現という⽬的を持って創始され、その挑戦の過程で新たな知⾒や技術を積み重ねてきた。⽬的研究として⽣まれた研究は、現在、「エネルギー源の実現」という幹から多くの枝葉を伸ばして「プラズマ物理・核融合科学」という広⼤な学術領域を形成する進化を遂げている。この学術課題集では、核融合プラズマの魅⼒・難しさ・未解明な謎・将来の課題・新展開に注⽬し、52 のトピックからその学術的なランドスケープを眺望する。「核融合炉の実現」のみならず「難問から諸科学・社会へ拡⼤する研究」を含んだ、⾊彩豊かな核融合プラズマのサイエンスとその拡がりを感じ取ってもらいたい。

躍動する高温プラズマの世界

1億度を超える高温のプラズマ(原子核と電子が解離したガス)をトーラス状の磁場の中に、あるいは、高強度レーザー照射による圧縮で閉じ込める。このような核融合プラズマでは、太陽を凌ぐほどの強い温度勾配が形成される。極限的な不均一性が駆動する諸現象の中に、強い非線形性と非平衡性が織り成す躍動的な世界を垣間見ることができる。

相互作⽤するプラズマと物質

プラズマは第4の物質状態としばしば称される。固体・液体・気体の状態にある様々な物質とプラズマにおける多相間の相互作用の理解は、核融合炉の実現にとって不可欠であるばかりでなく、横断的な理工学課題として根が拡がっている。

プラズマを⽣み出し加熱する

超高温あるいは超高密度のプラズマを創りだすための生成・加熱技術は、核融合炉にとって必須のものであると同時に、極限状態を扱う物理学や、産業・医療にも広く波及する技術でもある。先端的な技術開発に動機づけられたサイエンスも拡がっている。

“燃える“プラズマ

核融合反応を伴うプラズマ、すなわち、“燃える“プラズマが核融合炉での本質である。いかにして燃料を循環させ、エネルギーを持続供給し、不純物の排出を制御するか?異なる複数の物質が混じり合い循環するプラズマの学理や技術が拡がっている。

核融合炉への道

核融合炉は、炉心プラズマの物理的知見と極限環境を支える工学・技術の収斂のもとに実現される。炉環境における様々な制約を打破するための統合的な理工学研究が進むなか、先進的な概念も生み出されており、将来の核融合炉の多様性が拡がっている。

核融合から新たなテクノロジーへ

核融合プラズマの研究は次世代のエネルギー開発という意義だけに留まらない。そのなかで培われてきた物理的な理解・概念・方法論や工学技術は、宇宙機開発や環境技術、先端医療などへの水平展開力を持っている。“エネルギー“を超えた波及が拡がりつつある。

学術課題集のPDFファイル

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