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受賞news

時谷政行准教授が自然科学研究機構第8回若手研究者賞を受賞

自然科学研究機構では、新しい自然科学分野の創成に熱心に取り組み成果をあげた優秀な若手研究者を対象として「自然科学研究機構若手研究者賞」を授与しています。時谷政行准教授は、「先進的ろう付接合法によるタングステン/銅合金製・超高熱流プラズマ対向機器の開発」の成果に対して、第8回若手研究者賞の受賞が決まりました。7月7日(日) 日本科学未来館(東京都江東区青海2-3-6)において授賞式が開催されると同時に、当日は『超高温プラズマに負けない金属壁をつくる』というタイトルで受賞記念講演が行われます。

将来の核融合発電では、1億度を超える超高温プラズマを磁力線のカゴに閉じ込めますが、カゴから流出する一部のプラズマは特定の場所に設置した機器に導きます。高温プラズマと接触するこの機器は、「超高熱流プラズマ対向機器」として高い除熱能力が要求されます。現在期待されている機器構造は、プラズマと接触する表面には高融点で損傷に強い「タングステン」を使い、そのすぐ裏側に熱伝導率の良い「銅合金」の冷却板を接合させるものです。一般的には「ろう材」と呼ばれる接着剤の役割をする物質を間に挟み、高温で溶かして接着させる「ろう付接合法」が用いられます。しかし、両材料は特性が異なるため、従来のろう付接合法では強靭な接合部を作る事は困難でした。
時谷政行准教授は、これまで誰も考え付かなかったろう材と熱処理過程の組み合わせを用いることで、金属材料のミクロ組織を制御できる「先進的ろう付接合法」を開発し、強靭な接合部を得ることに成功しました。この場合のミクロ組織制御とは、タングステンと銅合金の界面にマイクロスケールの溶接のような状態を瞬間的に作り出し、結果として表面同士の緻密な凹凸を噛み合わせる「アンカー効果」と呼ばれる物理機構によって、しっかりと接着させる組織制御のことです。
受賞記念講演では、この方法を使った高性能な超高熱流プラズマ対向機器開発の最前線が紹介されます。