核融合科学研究所

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2023.10.13

ねじれた光で流れを測る - レーザー計測の新たな可能性を拓く -

学校法人 日本大学

自然科学研究機構 核融合科学研究所

学校法人 君が淵学園 崇城大学

研究成果(プレスリリース)

概要

プラズマから物質への粒子流の測定は,プラズマと物質の相互作用の観点から重要な課題となっています。一般的なレーザーでは,光が進行する方向に沿った粒子の速度しか測定できないため,例えば,核融合装置の炉壁に向かう粒子束に対しては,壁が光路を妨げて測定ができません。日本大学の博士後期課程3年生 皆川裕貴氏,荒巻光利教授,核融合科学研究所の吉村信次准教授,および崇城大学の寺坂健一郎准教授らによる研究グループは,光渦*1と呼ばれる波面*2がらせん状にねじれたレーザーを使用することで,測定可能な速度の方向に対する制約を克服しました。この測定法は光渦レーザー吸収分光法と名付けられ,光渦を用いることで光の進行方向に対して垂直な粒子流も測定可能となりました。これにより,物質とプラズマの境界領域における現象の解明に大きく貢献することが期待されます。

この研究成果をまとめた論文が英国ネイチャー・パブリッシング・グループの科学雑誌「Scientific Reports」オンライン版に2023年9月16日に掲載されました。

図1
図1 波面が平面である一般的なレーザー吸収分光法では、光に垂直な流れを測定することはできません。本研究では、らせん状の波面を持つ光渦をプラズマの流れに対して垂直に入射させることで測定を可能にしています。ドップラー効果は流れの方向と波面の角度に依存するため、光渦のねじれた波面によってビーム断面内でドップラーシフトの分布が生じます。波面の構造は既知であるため、観測されたドップラーシフトの分布からビームを横断するプラズマの流れが得られます。(©核融合科学研究所)

詳しくは日本大学のページをご覧ください。

【論文情報】

雑誌名:Scientific Reports

題名::Enhancement of Doppler spectroscopy to transverse direction by using optical vortex(光渦を用いたドップラー分光の横方向への拡張)

著者名:皆川裕貴1,吉村信次2, 3,寺坂健一郎4,荒巻光利1

1 日本大学生産工学部、2 自然科学研究機構 核融合科学研究所、3 名古屋大学低温プラズマ科学センター、4 九州大学(現 崇城大学)

DOI:10.1038/s41598-023-42517-z

【関連リンク】

日本大学

【本件のお問い合わせ先】
  • 大学共同利用機関法人 自然科学研究機構 核融合科学研究所
    管理部 総務企画課 対外協力係
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