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市民学術講演会をオンラインで開催しましたイベント

2021.12.13

 核融合科学研究所は、令和3年11月27日(土)に、市民学術講演会を開催しました。新型コロナウイルス感染症の影響を考慮して、今回もオンラインでのライブ配信としました。
 講演会では、はじめに西田基宏九州大学大学院薬学研究院・教授より「COVID-19治療薬開発に向けた取組み」と題する講演がありました。西田先生は、自然科学研究機構生理学研究所(生命創生探究センター)の教授でもあります。
 新型コロナウイルス感染症による緊急事態宣言が解除されたとはいえ、引き続き基本的な感染予防対策の徹底が繰り返し呼びかけられています。ワクチン接種や新薬開発の話題もニュース等でたびたび取り上げられており、西田先生には、そのようなワクチン接種や新薬開発の最近の動向についてお話しいただきました。特に新薬を創出できる国は、世界でも約10カ国しかなく、その中でも日本は世界第3位の新薬創出国であり、厳密な審査を経て承認されているとの説明がありました。また、医薬品になるのかを評価する上で大事なことは、科学的な根拠をもとにベネフィット(有効性)とリスク(副作用)を評価し、それらの最適なバランスを見出すことが重要であるとの説明があり、その具体的な事例や統計データが紹介されました。更に、現在進行中である新薬開発のための共同研究の状況についてもお話しいただきました。
 続いて、吉田善章所長より「核融合科学のチャレンジ」と題する講演がありました。太陽の核融合反応を切り口に、地上の太陽「核融合炉」を実現するために、核融合科学にどんな未解決問題があるのか? また、宇宙や自然界に存在するプラズマの中の渦に着目して、核融合が安定して実現するためにプラズマはどのような空間にあるといいのか?という話がありました。最後に、21世紀では宇宙の「多様性」を理解することで、核融合エネルギー実現へとつながると締めくくられました。
 今回の講演会では、前回と同じように、ウェブ上に質問フォームを準備し、事前及び講演中に質問を受け付け、各講演後に回答を行いました。「最近のニュースで変異ウイルスの話が話題にあがっていますが、新薬の開発について、変異ウイルスの動向もさぐりながら、研究をしているのでしょうか」「核融合発電の実現については、困難な道のりだとよく聞きますが、今一番の課題は何でしょうか。」など多くのタイムリーな質問が寄せられ、視聴者の関心の高さが伺えました。
 今回もオンラインでの開催でしたが、地元の岐阜県、近隣の愛知県だけでなく、東京都・神奈川県・大阪府など遠方からもアクセスがあり、二つの講演を合わせて127件の参加がありました。ご視聴ありがとうございました。

西田教授による講演 吉田所長による講演
西田教授による講演 吉田所長による講演