NIFS

令和3年度における大型へリカル装置(LHD)のプラズマ実験計画について
(お知らせ)

2021.8.19

 自然科学研究機構 核融合科学研究所(岐阜県土岐市 所長・吉田善章)は、大型ヘリカル装置(LHD)の第23サイクルのプラズマ実験を令和3年10月14日(木)から開始しますので、お知らせします。第23サイクルのプラズマ実験では、重水素ガスを用いた実験(重水素実験)の実施を昨年度と同様、初日より予定しており、下記スケジュール等については、7月下旬から現在までに地元自治体等へ通知したところです。
研究所の重水素実験について、市民の皆様のご理解と地元自治体等関係者のご協力をいただき誠にありがとうございます。お陰をもちまして、昨年度の第22サイクルプラズマ実験における重水素実験で、イオン温度と電子温度が共に1億度を超える高温度プラズマの実現に成功するとともに、将来の核融合発電の燃料である「重水素」と「三重水素」を、「重水素」と「軽水素」によって模擬した実験により、水素同位体が混ざりあう核融合発電にとって好ましい状態が乱流によってもたらされることを世界で初めて観測するなど、今後の核融合研究の基盤となる成果を挙げることができました。
 LHDでは、重水素実験の実施により、核融合発電に必要な1億度を超える高温プラズマの生成技術を確立し、LHDの研究は新たな段階に入りました。これからは、このような高温プラズマの制御に必要な乱流やプラズマ中に発生する波の発生メカニズムを明らかにする等の核融合発電を実現する上で必要な学術研究を中心に進めます。さらに、核融合研究で得られた知見を天体現象などの理解のために普遍化する新たな研究の展開も図る予定です。
 本実験サイクルにおいても、実験の安全性を最優先事項として、機器の保守点検、安全講習会、巡視等の実施、及び万が一の事故に備えた緊急連絡・対応の訓練を実施するとともに、24時間体制で監視を行っていきます。また、機器の保守点検等の作業は「新型コロナウイルス感染予防対策マニュアル」に従って行うなど、新型コロナウイルス感染症対策にも万全を期しています。引き続き、放射線関連データや実験の進行状況を随時ホームページ上で公開する等、情報公開に努めてまいります。

  1. 実験期間 令和3年10月14日(木)~令和4年2月17日(木)(予定)
    (うち、重水素実験 10月14日(木)~令和4年1月21日(金)(予定))
  2. 実験時間 原則として、平日の火曜日から金曜日までの9:00~18:45
    ※月曜日に実験を行う場合もあります。

*水素同位体:水素の仲間の元素のこと。質量数が1、2、3の水素を、それぞれ「軽水素」、「重水素」、「三重水素」と呼びます。将来の核融合発電では、「重水素」と「三重水素」を用いる予定ですが、LHDプラズマ実験では「重水素」と「軽水素」を用います。