2025.3.26
レーザー核融合のキーパーツを開発⼤型⾼出⼒レーザーのキーパーツ「ガラス製ファラデー素⼦」がレーザー核融合の実現可能性を加速させる
研究成果(プレスリリース)日本電気硝子株式会社(本社:滋賀県⼤津市 社⻑:岸本暁)、大阪大学レーザー科学研究所(以下、阪大レーザー研)、核融合科学研究所、京都大学は大型高出力レーザーのキーパーツとなる「ガラス製ファラデー素子」を開発しました。このパーツを用いた光アイソレーターにより、大型高出力レーザーの課題である反射戻り光を抑制できます。高出力レーザーは、レーザー核融合や宇宙デブリの除去、重粒子線によるがん治療など精密工学や先端レーザー制御が求められるさまざまな分野への応用が期待されています。

ガラス製ファラデー素子の特長
ガラス製ファラデー素子は、光アイソレーターに使用される光学素子であり、磁場を利用して光の偏光面を回転させる特殊なパーツです。レーザーの反射光を制御する機器「光アイソレーター」のキーパーツとして使用されます。今回共同開発したガラス製ファラデー素子は以下の特長を持ち、テルビウム・ガリウム・ガーネット(TGG)などの従来素材を凌駕します。
- 大型化が可能
超大径のビーム(Φ90mm)を制御できるほどのサイズ(110×110mm)を実現。 - 高出力(ハイパワー)耐性がある
TGGに比べ吸光係数が低く、レーザーの出力を上げても品質が落ちない。

共同開発の背景
高出力レーザーの反射戻り光は、レーザー機器の破損リスクやノイズ問題を引き起こすため、装置の実現に向けた大きな課題となっていました。日本電気硝子は、小型の高出力(ハイパワー)レーザー対応光アイソレーターの開発経験を活かし、大型高出力レーザーの要件に応えるガラス製ファラデー素子を開発。京都大学と核融合科学研究所がガラスの評価を行い、阪大レーザー研が「SENJU」の光アイソレーターとして実装を進めています。
今後の展望
レーザー核融合に適切なガラスのサイズ・厚みの試作を継続するとともに、光学特性などの評価を行います。また、実用化に向けて「ガラス製ファラデー素子を搭載した光アイソレーター」の試作へとステップを進めていきます。
本件のお問い合わせ先
- 大学共同利用機関法人 自然科学研究機構 核融合科学研究所
管理部 総務企画課 対外協力係