核融合科学研究所

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2023.4.13

受賞

小林達哉准教授が科学技術分野の文部科学大臣表彰 若手科学者賞を受賞受賞

文部科学省は、自然科学研究機構核融合科学研究所の小林達哉(こばやしたつや)准教授に、令和5年度科学技術分野の文部科学大臣表彰 若手科学者賞を授与することを4月7日に発表しました。

科学技術分野の文部科学大臣表彰の目的等

この表彰は、科学技術に関する研究開発、理解増進等において顕著な成果を収めた者について、その功績を讃えることにより科学技術に携わる者の意欲の向上を図り、もって我が国の科学技術水準の向上に寄与することを目的としています。この中で、若手科学者賞は、萌芽的な研究、独創的視点に立った研究等、高度な研究開発能力を示す顕著な研究業績を挙げた若手研究者を対象としています。

参考URL: 文部科学省

受賞の内容

小林達哉准教授の受賞対象は「核融合プラズマ閉じ込め遷移の機構解明と予測性改善の研究」です。

核融合を実現するためには、炉心プラズマを高エネルギー閉じ込め状態に遷移させ、プラズマを高温度化する必要があります。この「閉じ込め遷移」の物理機構解明と制御方法確立の研究は、これまでに世界中で進められてきましたが、遷移条件付近のプラズマは非常に不安定であり、実験解析を行うことが困難でした。

小林達哉准教授は、先進的な統計解析手法を不安定な遷移点付近のプラズマに適用することによって、遷移を特徴づける主要な物理パラメータを抽出することに成功しました。その結果、遷移を司る決定的なパラメータである、電場の特徴的振る舞いを実験的に明らかにしました。JFT-2Mトカマク装置においては、統一的物理モデルによって、プラズマ中の電場の励起機構を世界で初めて明らかにしました。また、大型ヘリカル装置LHDでは、燃料ガス質量の大きいプラズマで電場が励起されやすく、閉じ込め遷移が起こりやすいことを示しました。

本研究成果は、閉じ込め遷移の発生予測・制御方法開発に重要な知見を与えるものであり、核融合炉の早期実現に寄与することが期待されます。また、プラズマの自己組織化機構の一端を明らかにした本研究は、自然界の様々な構造形成のダイナミクス解明につながるものであり、今後の学際的な展開が見込まれます。

参考:

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本研究は国内外で高く評価されており、小林准教授は、第11回日本物理学会若手奨励賞、プラズマ核融合学会第22回学術奨励賞、The International Union of Pure and Applied Physics (IUPAP) Young Scientist Prize in Plasma Physics 2021、2021年度吉川允二記念核融合エネルギー奨励賞優秀賞も受賞しました。

小林 達哉

小林 達哉(こばやし たつや)

自然科学研究機構核融合科学研究所准教授。博士(理学)。
九州大学大学院総合理工学府先端エネルギー理工学専攻を修了し、核融合科学研究所助教を経て2023年より現職。

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