NIFS

市民説明会の内容

核融合科学研究所について
  • A核融合科学研究所は大学共同利用機関として国内や海外の大学・研究機関と共に双方向の活発な研究協力を進めています。また、教育機関として、次世代の優れた人材を育成し、社会と連携しながら、核融合プラズマに関する基礎的研究・教育を強力に推進しています。
  • A宇宙の星や太陽が光るエネルギーの源は「核融合」です。核融合科学研究所は、私たちが必要とする将来のエネルギーをまかなうために、このエネルギー源を地上で実現することを目指して、超高温プラズマを生成し、それを安定に保持する研究を行っています。
  • A2021年4月1日現在、224名です。内訳は、所長(1)、研究教育職員(121)、技術職員(46)、事務職員(41)、年俸制職員(12)、URA職員(3)となっています。
  • A核融合科学研究所は、将来の核融合科学を担う若手人材育成を推進する重要な役割を担っています。大学院教育では、総合研究大学院大学の核融合科学専攻としての教育活動に加えて、全国の大学との連携教育にも力を入れています。2021年度の学生数は、総合研究大学院大学の学生が23名、連携大学院の学生が31名、特別共同利用研究員の学生が13名です。
核融合エネルギーについて
  • A核融合とは、質量の小さい原子核同士がぶつかって融合し、別の重い原子核になることを言います。この反応は太陽や恒星のエネルギーの源であり、地上で実現できれば、私たちは恒久的なエネルギー源を手に入れることができます。現在考えられている核融合反応では、水素の同位体である重水素と三重水素が燃料となります。
  • A重水素と、三重水素を作るために必要なリチウムは、海水中に含まれています。3リットルの水に含まれる重水素と0.3グラムのリチウムから、日本の1人当たりの年間電気使用量を発電することができます。海水の量は莫大で、資源量はほぼ無尽蔵です。また特定の場所に偏在しないことも特長です。
  • A核融合は水素イオン(水素の原子核)同士が融合する反応ですが、イオンはプラスの電気を持っているため、このプラスの電気同士の間に働く反発力 に打ち勝ってイオン同士を融合する距離まで近づけないといけません。このためには、電気の反発力に打ち勝つスピード、すなわち高い温度が必要になります。1万度以上の温度では、全ての物質はイオンと電子に分かれ、電離した気体の状態「プラズマ」になりますが、将来の核融合発電炉では、1億度以上の温度が必要となります。
  • A太陽は自らの巨大な重力で飛び回るプラズマを引きとめていますが、地球は強い重力を持たないため、代わりに磁場を用いてプラズマを閉じ込めます。電気を帯びたプラズマ粒子が磁場中にいると、磁場から力を受けます。この結果、プラズマ粒子が磁力線に巻きつくように運動します。この性質を利用し、プラズマを閉じ込めます。
大型ヘリカル装置(LHD)について
  • A核融合科学研究所が保有する主力のプラズマ実験装置で、強い磁場を定常的に発生させることが可能な「超伝導コイル」を用い、超高温プラズマを発生させることができます。装置本体の外形は13.5メートル、高さは9.1メートルと世界有数の規模を有します。
  • A1998年3月31日からです。
  • A2017年3月より開始した重水素を用いた実験(重水素実験)で、核融合条件の一つであるイオン温度1億2,000万度を達成しました。また、2020年度の重水素実験で、電子温度・イオン温度共に1億度に達するプラズマの生成に成功しました。これまでは、イオン温度1億度以上のプラズマは電子温度が低かったのですが、今回の成功によって、文字通り1億度に達するプラズマの生成法を確立することができました。
  • A10月14日に第23サイクルのプラズマ実験を開始します。「サイクル」とは、数ヶ月間連続してプラズマ実験を行う期間のことで、今回は1998年の実験開始から数えて23回目の実験期間となります。1月21日まで重水素実験を、その後2月17日まで軽水素実験を実施する予定です。
  • A大型ヘリカル装置の最終目標は、1億度を超えるプラズマを生成することではなく、このプラズマの性質を見極めることです。新しい計測器を用いてプラズマの乱流現象を調べたり、軽水素と重水素を混合したプラズマを生成したりすることで、核融合発電炉のプラズマを模擬する物理実験を行います。
実験の安全性と情報公開について
  • A重水素実験において、実験に用いた重水素の大部分はそのままで変わりませんが、ごく一部が、プラズマが発生しているときだけ、核融合反応を起こして、放射線である中性子が発生します。
  • A重水素実験において、実験に用いた重水素の大部分はそのままで変わりませんが、ごく一部が、プラズマが発生しているときだけ、核融合反応を起こして、放射性物質である三重水素(トリチウム)ができます。ただし、1回の実験で発生する量は、最大4百万分の1グラムで、放射性物質としての扱いが必要ない量です。
  • A発生した中性子は、2メートル厚のコンクリート壁で遮へいします。敷地境界にずっと居続けたとしても、自然放射線の1,000分の1以下の影響です。
  • A発生したトリチウムは、トリチウム除去装置(排気ガス処理システム)に導き、水の形で除去・回収した後、公益社団法人日本アイソトープ協会へ引き渡します。排気ガス処理システムの除去性能は95%以上です。除去できなかったトリチウムは、濃度監視を行い排気塔から放出します。その影響は敷地境界にずっと居続けたとしても、体内に元々あるトリチウムの15分の1以下です。
  • A研究所敷地境界部に9ヶ所、実験棟近傍に5ヶ所の放射線モニタリングポストを設置しています。各ポストでの環境放射線測定データは、リアルタイムでホームページ上に公開しています。(https://sewebserv.nifs.ac.jp/map.php) これまで、プラズマ実験を実施した時間帯で線量の増加は認められませんでした。
  • Aホームページ(http://sewhite.nifs.ac.jp/quick/)上に、中性子総発生量、トリチウム総発生量、敷地境界線量(中性子線、ガンマ・エックス線の合計)、排気中トリチウム濃度の速報値を随時公開しています。また確定値については、「LHD重水素実験放射線管理年報」にて公表しています。(最新版:https://www.nifs.ac.jp/j_plan/210623-02.pdf
  • Aありません。
  • A岐阜県、3市(土岐市、多治見市、瑞浪市)が2014年に共同設置した、研究所とは独立した委員会で、県が指名した専門家と3市が指名した住民代表で構成されます。研究所の監視及び測定結果の確認に加え、委員会独自に環境中性子線量・環境水中トリチウム濃度の測定を行い、研究所の監視・測定結果のクロスチェックを行っています。これまでの委員会において重水素実験による周辺環境への影響がないことを確認いただいています。
    (https://www.pref.gifu.lg.jp/page/9593.html)
  • A核融合科学研究所が2006年に設置した、研究所外の専門家とジャーナリスト、地元有識者で構成される委員会です。委員会は、所長の諮問に応じ、重水素実験の安全性、実験環境に関すること、その他所長が必要と認める実験の安全性等に関することを審議し、2007年には「重水素実験の安全管理計画は妥当という評価、また、第三者による監視委員会の設置などの提言」を、2012年には「東日本大震災を受けて再検討された安全管理計画は妥当という評価、また、安全管理計画を確実に実行に移すことが肝要であるとの答申」をいただいています。以降、委員会では、安全管理計画に基づく重水素実験の準備状況等を確認いただいています。
    https://www.nifs.ac.jp/j_plan/j_003.html
  • A2022年度で終了します。
お問い合わせ先

核融合科学研究所 対外協力係
TEL: 0572-58-2222
E-mail:setsumeikai@nifs.ac.jp