NIFS

研究最前線

小型電子ビームイオントラップ装置CoBITを用いた多価イオン原子物理学

坂上裕之 核融合システム研究系 助教 (NIFSニュース No. 263)

原子は、中心部分に正の電荷をもった原子核とそれを取り巻く一つあるいは複数の電子から成っています。原子から電子を取り去る(電離と呼ぶ)とイオンになり、一つの電子を取り去ったものを一価のイオンと呼びます。また、複数の電子を取り去ることも可能であり、そのようなイオンを多価イオンと呼び、・・・・続きを読む

水素リサイクリングモデルの開発によって明らかになった壁からの高回転エネルギー水素分子の放出

齋藤誠紀 山形大学理工学研究科 准教授、中村浩章 基礎物理シミュレーション研究系 教授 (NIFSニュース No. 262)

近年、プラズマが炉壁へ与える影響を最小限に抑える手法として、中性のガスを噴射し壁近傍のプラズマを中性の水素原子・分子に戻す方法(デタッチメント)が検討されています。このような環境下では、水素原子だけでなく、壁近傍に存在する水素分子の存在がプラズマの挙動に強く影響すると予想されています。このプラズマ挙動を正しく理解するためには、・・・・続きを読む

レーザー誘起周期的ナノ構造の形成機構に関するシミュレーション

坂上仁志 基礎物理シミュレーション研究系 教授 (NIFSニュース No. 261)

物質表面に非常に強力なレーザーを照射すると、レーザーのエネルギーが物質に吸収されて、その表面はプラズマ化します。そのように強力で、かつ光が僅か0.01ミリメートルしか 進まないほどの・・・・続きを読む

ICRFアンテナの開発 -インピーダンストランスフォーマーによる高性能化-

斎藤健二 プラズマ加熱物理研究系 准教授(NIFSニュース No. 259)

大型ヘリカル装置(LHD)におけるプラズマ加熱手法の一つにイオンサイクロトロン共鳴周波数帯(Ion Cyclotron Range of Frequencies、ICRF)加熱があります。これは、アンテナから放射される数十メガヘルツ(注1)の電磁波を用いて・・・・続きを読む

高精度な環境モニタリングを可能にする革新的赤外光源の開発

上原日和 高温プラズマ物理研究系 助教(NIFSニュース No. 259)

発電施設、工場施設などの安全かつ安定な運転のためには、それらの施設の内外におけるガスや液体等の成分を常時測定する「環境モニタリング」が必須です。また、医療分野では、呼気に含まれる微量のガス成分を検査する・・・・続きを読む

ヘリカル型核融合発電炉の超伝導コイル電源システムを考える

力石浩孝 装置工学・応用物理研究系 准教授 (NIFSニュース No. 257)

現在運転している大型ヘリカル装置(LHD)を含めて磁場閉じ込め型の超伝導プラズマ実験装置では、プラズマを閉じ込める磁場を作るための超伝導コイルとそれに電流を供給する直流電源装置は基幹設備の一つです。将来の核融合炉プラントにおいても・・・・続きを読む

核融合プラズマのタングステン不純物蓄積における大域的効果

菅野龍太郎 核融合理論シミュレーション研究系 准教授 (NIFSニュース No. 256)

磁場により閉じ込めている核融合プラズマに、閉じ込め装置の壁から発生した金属などの原子が電離されて、核融合反応に不要な不純物イオンとなって混入することがあります。この不純物イオンがプラズマの中に蓄積すると、・・・・続きを読む

閉じ込め磁場を変化させてプラズマの性能を改善する

小林政弘 高密度プラズマ物理研究系 准教授 (NIFSニュース No. 256)

核融合炉のプラズマは、できるだけ高温・高密度にして核融合反応を促進し、たくさんのエネルギー出力を得ることが重要です。一方で、エネルギー出力の増加に伴って、装置壁への熱負荷も徐々に増えていきます。あまり熱負荷が大きくなると、・・・続きを読む

液晶電気対流を使った実験研究

永岡賢一 プラズマ加熱物理研究系 教授 (NIFSニュース No. 255)

水やプラズマのような流体の状態の一つとして、大小さまざまな渦が入り乱れた乱流があります。大型ヘリカル装置(LHD)のような磁場で閉じ込められた高温のプラズマでも、乱流状態が観測されています。乱流中の渦は・・・・続きを読む

トポロジー最適化によるヘリカル型核融合炉のコイル支持構造設計

田村仁 核融合システム研究系 准教授  (NIFSニュース No.253)

核融合炉の実現には、プラズマを閉じ込める強力な磁場を発生する超伝導コイルが必須です。超伝導コイルは超伝導導体を数百周巻き、大電流を流すことで磁場を発生させます。電流が流れているコイルに・・・・続きを読む

核融合科学研究所と中国西南交通大学の共同プロジェクトによる準軸対称ヘリカル型実験装置CFQSの建設

清水昭博 高温プラズマ物理研究系 助教 (NIFSニュース No.253)

核融合科学研究所は、世界中の大学や研究機関と学術協定を結び、多くの共同研究を進めています。2017年7月には、中国西南交通大学と国際学術交流協定を結び、世界初の準軸対称ヘリカル型実験装置CFQSの設計研究を開始し・・・・続きを読む

人工ダイヤモンドを用いた高エネルギーイオン閉じ込め研究

神尾修治 プラズマ加熱物理研究系 助教 (NIFSニュース No. 252)

将来の核融合炉では、核融合反応により生成された高エネルギー粒子がプラズマを加熱する役割を担うため、高エネルギー粒子を良好に閉じ込めることが必要不可欠です。核融合炉における高エネルギー粒子閉じ込めの理解・予測のため・・・・続きを読む

LHDにおける不純物粒子ドロッパー実験

芦川直子 核融合システム研究系 助教 (NIFSニュース No. 252)

核融合発電炉で定常的にプラズマを維持するためには、プラズマ真空容器内での燃料流子バランスを考慮する必要があります。燃料粒子はガスパフ、固体燃料ペレット、超音速分子ビーム入射等の手法で供給され・・・・続きを読む

圧力勾配が駆動する不安定性のハイブリッド・シミュレーション研究 ~イオン軌道の効果による抑制メカニズム~

佐藤雅彦 核融合理論シミュレーション研究系 助教  (NIFSニュース No. 251)

核融合炉の実現には、高温高密度のプラズマを安定に閉じ込める必要があります。プラズマの圧力は中心部ほど高く、プラズマ内部には圧力の勾配が存在しています。この圧力の勾配が・・・・続きを読む

どんな時に磁気島はできるのか?

渡邊清政 高密度プラズマ物理研究系 教授 (NIFSニュース No.250)

核融合発電炉を実用化するには1億度以上のプラズマ状態の燃料(重水素と三重水素の原子核と電子の集まり、以下プラズマ)を閉じ込めて、高温状態を長時間保つ必要があります。プラズマはドーナツ形状の磁場の容器を使って閉じ込めますが、この容器は磁力線でできていて、・・・・続きを読む

NIFS発の計測技術の国際展開で進めるヘリカルプラズマにおける不純物輸送研究

田村直樹 高温プラズマ物理研究系 准教授 (NIFSニュース No.249)

将来の核融合炉では、燃料となる水素同位体及びプラズマを加熱する高エネルギーヘリウム以外の粒子を不純物と呼びます。これら不純物の主な発生源は、・・・・続きを読む

磁気再結合におけるプラズマ加熱の粒子シミュレーション

宇佐見俊介 基礎物理シミュレーション研究系 准教授 (NIFSニュース No.249)

プラズマには、「磁気再結合」という、互いに向きの異なる磁力線がつなぎ変わる現象がありますが、その詳細な物理機構はいまだ完全には解明されていません。。磁気再結合は、太陽フレアやオーロラの発生などに深く関わっていると注目されており、・・・・続きを読む

宇宙の重元素の起源に迫る光の分析を可能に ‐ 最高精度の原子過程データを計算 ‐

加藤 太治 核融合システム研究系 准教授 (NIFSニュース No.247)

核融合科学研究所では、核融合炉のプラズマや材料の中に含まれる重元素について、高精度な原子過程データを構築する研究を進めています。ここで、原子過程データとは、・・・続きを読む

高速イオンの振る舞いを予測する ‐ ハイブリッド・シミュレーションと実験の比較研究 ‐

關 良輔 プラズマ加熱物理研究系 助教  (NIFSニュース No.247)

核融合発電を実現するためには、核融合反応が持続するよう、プラズマを1億度以上の高温に加熱し、高温状態のまま保持することが必要です。将来の核融合炉では、・・・続きを読む

核融合プラズマを予測する ‐ 統合輸送シミュレーション研究 ‐

山口 裕之 核融合理論シミュレーション研究系 助教  (NIFSニュース No. 246)

磁力線のカゴに閉じ込められた核融合プラズマは、その内部でいくつもの物理現象が互いに影響を及ぼし合いながら全体が変化してゆく、典型的な複雑系としてとらえることができます。ここでは、様々なシミュレーションを・・・続きを読む

国際共同研究で進めるプラズマ電子温度・密度分布計測の高速化

安原 亮 高温プラズマ物理研究系 准教授  (NIFSニュース No.245)

みなさんは、ガリレオ・ガリレイという名前を聞いたことがあるかと思います。彼は、16世紀後半からイタリアで活躍した科学者で、・・・続きを読む

電子の集団運動から電磁波の発生、そしてプラズマの電子を加熱する - 大電力ミリ波発振管ジャイロトロンによるプラズマの加熱 -

下妻 隆 プラズマ加熱物理研究系 教授  (NIFSニュース No.244)

熱核融合反応により核融合炉を実現するためには、プラズマを数億度という超高温に加熱することが要求されます。プラズマは・・・続きを読む

設計の弱点を見抜く「技」~クライオポンプの熱構造設計~

村瀨 尊則 技術部装置技術課 実験応用技術係長 (NIFSニュース No. 243)

「探偵術において最も重要なのは、数多くの事実の中から、どれが付随的な事柄でどれが重大な事柄なのかを見分けるの能力です。」これは名探偵シャーロック・ホームズの小説に出てくるセリフですが、・・・続きを読む

デマンドリアルタイム監視システムの開発

長原 一樹 技術部装置技術課 電源技術係 (NIFSニュース No. 243)

プラズマ実験には、大きな電力を必要とする装置が数多く使われます。その中でも特に大きな電力を使用する装置には、プラズマを加熱する装置や・・・続きを読む

バーチャルリアリティ空間の中でヘリカル型原型炉を組み立てる

大谷 寛明 基礎物理シミュレーション研究系 准教授  (NIFSニュース No. 242)

2016年、世界はVR元年を迎えました。VRはバーチャルリアリティのことです。この年、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)という・・・続きを読む

先進的ろう付接合法によるタングステン/銅合金ダイバータ受熱機器開発

時谷 政行 核融合システム研究系 助教 (NIFSニュース No.242)

核融合炉では、高温のプラズマを磁力線のかごに閉じ込めることで核融合反応を持続させることができます。反応によって熱エネルギーが連続的に生み出され、・・・続きを読む

温度可変低温設備の導入による超伝導コイル開発の新展開

濱口 真司 装置工学・応用物理研究系 准教授 (NIFSニュース No.240)

大学共同利用機関である核融合科学研究所の重要な使命の一つとして、共同研究に供される研究基盤設備の整備が挙げられます。今回は、「核融合炉実現を目指す革新エネルギー循環工学研究設備」の・・・続きを読む

プラズマ内部の揺らぎの大きさと速度分布を見える化する ‐ マイクロ波周波数コムを用いたドップラーレーダーの開発 ‐

徳澤 季彦 高密度プラズマ物理研究系 准教授 (NIFSニュース No. 239)

「出たー、165キロ!」2016年に札幌ドームで日本プロ野球における球速の最高記録が更新された時のコメントです。ピッチャーの投じる野球ボールのスピードは、・・・続きを読む

ダイバータへのプラズマ熱流削減を解明する -高精度コンピュータシミュレーションを目指してー

Theerasarn Pianpanit 総合研究大学院大学 物理化学研究科 核融合科学専攻 博士課程
石黒静児 基礎物理シミュレーション研究系 研究主幹・教授 (NIFSニュース No.238)

プラズマ磁場閉じ込め実験装置においては、高温のプラズマを磁場の力で容器の壁から離すことによって、プラズマの温度が下がったり、プラズマが装置の壁を傷めたりすることを防いでいますが、・・・・続きを読む

プラズマ内部の乱流をいかにして抑制するか -大規模計算機シミュレーションで乱流とイオン質量の関係に迫るー

仲田資季 核融合理論シミュレーション研究系 助教 (NIFSニュース No.237)

核融合発電炉の実現には、ドーナツのような円環状のプラズマに蓄えられている熱や粒子を強い磁場によって閉じ込め、1億度以上の高温状態を高い密度で長時間維持する必要があります。一日も早い実現を目指し・・・・続きを読む

高性能ダイバータクライオポンプの開発 -効率よく粒子を排気するー

本島厳 高密度プラズマ物理研究系 准教授 (NIFSニュース No.236)

大型ヘリカル装置(LHD)では、不純物やプラズマになりそびれた燃料の水素ガスを炉心プラズマから離れたところに効率よく一まとめにするため、真空容器内にダイバータと呼ばれる構造を導入しています。このダイバータは・・・・続きを読む

液体増殖ブランケット環境を実現する -熱・物質流動ループOroshhi-2による循環状態での試験ー

八木重郎 核融合システム研究系 助教 (NIFSニュース No.236)

核融合炉を実現するためには、燃料となる三重水素(トリチウム)が必要です。しかし三重水素は地球上に資源としては存在しないものなので、核融合プラズマを包むように設置されるブランケットと呼ばれる設備において・・・・続きを読む